荒浜で出会ったMさん。
爽やかな青空の下、やかんを日よけがわりに。
眩しげな表情が愛らしい。
やかん倶楽部
2019年11月、はじめてのベトナム旅行。
リゾート観光地のダナンにやってきました。
今回はやかんを現地で入手するというミッションを掲げました。
やかんを探して、ビッグC(現地のスーパー)、ハン市場を経由して、たどり着いたのがここ「コン市場」でした。人々が入り乱れ、とても活気のある市場です。
ここで出会ったやかんがこちら。
お値段 70,000ドン(日本円で約350円)
材質はペラペラで、取っ手は動かないし、バリは取れてないし、とっても雑な作りです。でもフォルムはベトナムらしく愛らしい。
早速、海辺に連れて行きました。
おっ、なかなかいいじゃないか。
ホテルのプールサイドも貸し切りです。
日焼け止め塗らなきゃね。
朝が来てバルコニーから朝日を愛でる。
旅先で出会うやかんもよいものですね。
日本に連れて帰ってからも可愛がりたいと思います。
今回の旅で一番に興味をもったのは海でも観光でもない「バイク」でした。
まずはその数の多さにびっくりです。車1に対してバイク9くらいでしょうか。朝から晩まで、前から後ろから横からビュンビュン走り続けています。
そうそう!ここダナンは信号がほとんどありません。交差点はもう大変。我先にと少しの隙間をぬって前へ前へと進みます。もはや無法地帯です。よう事故が起きんねぇ。
2人乗りは当たり前、男女2人乗りは後ろの女性が横乗りします。落ちそうで見ているこっちが怖かった。3人乗り、4人乗りもよく見かけました。4人家族の移動もバイクなんですね。なかなかカルチャーショックな光景でした。
ここに1枚の下敷きがある。
カレンダーの日付は1990年。
ちょうど、バブル景気の絶頂期のころですね。
「ちからこぶる。」と訳の分からないフレーズとともに、やかんを大きく振り上げる人物。そうあのアーノルドシュワルツネッガー(通称シュワちゃん)なのです。
1990年に日清カップヌードルのCMに起用されたシュワちゃん。やかんをブンブン振り回す「やかん体操」を披露しています。
やかんが軽いと迫力が出ないため重さを10kgくらいまで加工したそうです。ちなみに振り付けは知る人ぞ知るあのラッキー池田さんです。
このころのシュワちゃんは、ターミネーター、コマンドー、プレデターと数々のヒット作品に出演した後で、ハリウッド大物俳優の地位を確立していました。よくもまぁ、やかん体操CMに出演してくれました。日清さんのやかん愛の凄さを感じます。
やかん体操は1~10のポーズがあります。
ぜひみなさんも、やかん体操をマスターしよう!
今日は、BUROKI design さんがデザインした「やかん」をご紹介します。BUROKI(ブロキ)さんは、大阪を拠点にグラフィックデザインやホームページ制作などを中心に活動をしているフリーランスデザイナーさんです。偶然にも instagramでお見かけして、なんて素敵な発想なの!と感銘をうけて、紹介の許可を頂きました。
BUROKI(ブロキ)さんは、ルール違反した人を単純に悪いとするだけではなく、デザインという観点から守ってもらうにはどうすればいいのかを考えました。「回数によって変わっていくシールがあれば面白いし、楽しんで守ってくれるようになるのでは?」というアイデアから生まれたのが、このやかんシールデザインだそうです。
第1段階は、「熱」
なんという愛らしいデザインでしょうか?
初回のルール違反なので、静かにふぅぅーと息を吐き出すだけで止まっています。
第2段階は、「激熱」
違反も2回目です。だいぶカッカとしてきました。
沸き立つ湯気がその表れでしょう。
第3段階 ・・・
第4段階 ・・・
と、なんと第5段階まで続くのです。
気持ちの高ぶりとともに変化していく 「やかん」 は必見です。
第3段階からの続きを見たい方は こちら からお願いします。
東京のアカオアルミさん本社工場から車で移動すること約1時間。
とうとうやってきました足利工場へ!
早速にやかん製造の工程を見学させて頂きます。
まずは本社工場で製造したまん丸のアルミ素材を金型でプレスします。一瞬で寸胴なべのような形ができあがります。まだまだ、やかんの面影はありませんね。
2軸スピニングマシンにセットして5分間かけて、ゆっくりと丸い形に伸ばしていきます。写真の黄色い部分に逆さにセットします。超高速回転させてアタッチメントを押し当ててゆっくりと伸ばしていくのです。例えるなら陶芸家が器をぐるぐる回しながら形にしていく、そんなイメージです。1分間に1,400回転、5分間で7,000回転もまわります。やかんがそんなにグルグル回っていたなんてビックリです。
注ぎ口を作っていきます。完成品では全く分からないのですが、実は真ん中で割れていたんですね。知らなかったです。その割れ目を丁寧に溶接していきます。
孔をあけて、注ぎ口を取り付けます。大きい孔を開けてしまうと、水がジャバジャバ流れてしまいます。丁度よい水量になるように小さい孔を数多く開けます。注ぎ口の取り付けはバーナーを前後させて溶接していきます。アルミニウムは融点が660℃と低いので溶接にも細心の注意が必要です。
1つ1つ丁寧に研磨していきます。熟練の職人技が光ります。ピカピカになったやかんも気持ちよさそうです。段々とやかんに近づいてきました。
続いてアルマイト皮膜処理の工程です。脱脂~水洗いを経て、シュウ酸の浴槽で電解処理しながら40分間ほど漬かります。アルミニウムは柔らかく傷つきやすいです。アルマイト皮膜処理をすることで耐久性が飛躍的に増します。やかんの美しい黄金色はこの時に生まれます。水槽からやかんを力強く引き上げる。オオオォ、と思わず歓声があがりました。
蒸缶釜で封孔処理をします。アルマイト皮膜には無数の微細孔があるため、十分な耐食性を確保するために封孔処理を行います。小さい孔をふさぐのですね。ぐるぐる回って水に電気に蒸気にと、やかんも大忙しです。
さらに研磨してピカピカになります。左が研磨後、右が処理前。ぜんぜん輝きが違います。簡単そうに磨いていきますが、ここでも職人技が光っています。
とうとう最終工程です。全体の品質チェックをしながら取っ手を取り付けていきます。最後の梱包作業を体験させて頂きました。袋のかぶせ方や、箱に入れる向きなど気づかないところでも、やかんへの思いやりがありました。
やかん(湯沸)がこんなにも手間と職人技をかけて作られているとは!本当に驚きの連続でした。昨今の大量生産、製造の自動化とは異なる、古きよき日本がここにあります。やかんの製造工程を知ることでますます愛着と親しみが増しました。
今回の工場見学のご縁を頂いたアカオアルミさんには大変に感謝致します。ありがとうございました。
アカオアルミさん メーカー直販サイトはこちらから
ぜひ、あなたもマイやかん(湯沸)を手にしてくださいね。